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今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

夢見ヶ崎動物公園絵本プロジェクトvol.5     ~絵本でつながる「区民の輪」~

 幸区役所との打ち合わせのあと、具体的な作業やスケジュールなど、何度も事業内容を練り直し、2017年11月18日、絵本企画第一案が完成。企画書には、私が密かにあたためてきたテーマを盛り込みました。今回の事業は、「絵本づくり」をメインに提案しましたが、じつは、別の大きな目的がありました。

 

 話はさかのぼって、今から約一年前。2017年5月下旬、私はある絵本作家さんと出会いました。母と子のための絵本を制作し、出版社を探しているとのことでした。当時、私は出版社を起ち上げたばかり。何を事業の柱にするか、なかなか「これだ」と思えるものが見つからず、試行錯誤を繰り返していたところ、知人が友人の絵本作家さんを紹介してくれたのです。

 

 絵本の内容を見て、ああ探していたのはこれだと思いました。未完成で、鉛筆で下書きをしただけの状態でしたが、確かに胸にひびくものがあったのです。ところが、そうはすんなりいきません。事業プランを考えて絵本作家さんに提案しましたが、条件面が折り合わず、他の出版社と話を進めることに。今回は、ご縁がなかったんだな。案外あっさり受け止めていました。チャンスは実らなかったものの、これをきっかけに、「大人のためのプレゼント絵本」という方向性が固まり、何か次につながりそうな予感がしていました。

 

 そして本当に、想像していたより早く、このプランを実行する機会がやってきました。それが、「夢見ヶ崎動物公園絵本プロジェクト」です。印刷物と言うと、企画して、制作して、配布して完了、というイメージがあります。これに対し、「絵本の制作はゴールではなく、その先にある〈体験〉をもっとも重視する」というのが大まかな主旨です。

 もう少し詳しく説明すると、絵本で街の魅力を紹介したら、それを実際に体験する場を作る。企画書に盛り込んだのは、絵本に登場するルート巡る「街歩きイベント」や、物語の世界にトリップする「読み聞かせ会」など。絵本はあくまでツールであり、ツールを使って街の魅力を体験する=「区民を巻き込む」ことこそ、企画のメインの目的。プロジェクトがスタートしたときから、こんなビジョンを思い描いていました。

 このテーマを企画書のタイトルにしたい。熟考した結果「絵本でつながる区民の輪」という言葉を入れることにしました。