ゆめカフェができるまで           

今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

【Part1】夢見ヶ崎動物公園絵本プロジェクトvol.1    ~「絵本企画」誕生の裏話~

 川崎市幸区夢見ヶ崎動物公園を舞台にした絵本を制作するプロジェクト。いよいよ2018年4月からスタートしました。この企画の話が私のもとに舞い込んできたのは、その約半年前。「地域に住む子育て世代に向けて、街の魅力をアピールする紙媒体を提案してほしい」という依頼でした。

 

 幸区役所で行われた第一回目の打ち合わせ。さて、どんな内容を提案すればよいものか‥‥。私は直前まで迷っていました。事前に「こんなイメージ」と渡された他地域のパンフレットには、街の店や公共施設が、写真とイラストで紹介されていました。情報がコンパクトにまとめられて、とても分かりやすい内容です。

 

 でも、自分が作るとしたら‥‥と考えると、どうしてもピンとこないのです。具体的なアイデアが浮かばないまま、とうとう打ち合わせの前日。一応、企画案を作ってみたものの、何かしっくりこない。頭の中は、モヤモヤしたままでした。

 

 仕事を終えたあと、カフェで企画書をぼんやり眺めていたら、イラストレーターのKちゃんから電話がかかってきました。受信ボタンを押したとたん、「まささん、すんごいもの見つけちゃった!」。電話口の向こうから、興奮した声が飛び込んできました。

 

 Kちゃんには、以前この企画のことを話していました。早口でどーっと説明してくれたのは、こんな内容でした。たまたま武蔵小杉駅周辺を歩いていたとき、高層マンションの前に小さな公園があった。公園には、散歩道に沿っていくつか看板があり、二羽の小鳥にまつわる物語が描かれている。小鳥が棲んでいる木や巣箱など、ストーリーの内容と公園の風景が連動していて、散歩をしながら物語の世界を楽しめる。

 

 「こんな感じのことを幸区でやったらどうかな」。Kちゃんの言葉に、「それいい、それにしよう!」と即答しました。モヤモヤが一瞬にして晴れ、あっという間に提案する内容が決定。用意していた企画書は破棄して、ギリギリで差し替えました。こうして2017年11月、「絵本プロジェクト」が誕生。私の頭の中で、次々と新しいビジョンが生まれていました。