ゆめカフェができるまで           

今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

夢見ヶ崎動物公園絵本プロジェクトvol.16        ~またまた「壁」にぶち当たる、の巻~

 Kちゃんとの話し合いで確認したのは、この絵本をどんな人に読んでもらいたいか。ターゲットは、赤ちゃんから幼稚園、保育園、小学校低学年くらいまでの子供とその保護者。小さな子供にも理解しやすいように、テンポよく読めるように、短めの文章で。そうすれば、電車や病院の待ち合い室など、ちょっとした空き時間にさくっと読めます。外出先にも持ち歩けるように、バッグに収納しやすいA5サイズ。ストーリーの大まかな構成も決まり、次は文章に取りかかりました。

 

 しかし書き始めてから早々、またもや目の前に、大きな壁が立ちはだかったのです。第一稿を見返して、愕然としました。「なんなんだ、この小学生が書いたような文章は……!」。とても商品として表に出せるようなシロモノではありません。私はこの時点まできて初めて、重大な事実に気がつきました。

 

 私がふだん仕事で書いている雑誌や新聞の文章は、主に1テーマ1000字を超える長文の記事。物事を分かりやすく丁寧に説明するのは慣れていますが、考えてみると、わずか数十の文字で完結する短文は経験がありません。いつもどおり文章を書いたあと、制限文字数に合わせて短くしたら、ただ事実を羅列しただけの「小学生のような文」になってしまったのでした。長文が書けるのだから短文もいけるなんて、なんと浅はかな考えだったのでしょう。

 

 ひとくくりに文章と言っても、長文と短文は、まったく「別もの」。たとえて言えば、同じ球技でも、サッカーとテニスが別ものであるように。サッカー選手が、ある日突然テニスの試合に出るのは難しいでしょう。そうは言っても、ここまできて放り出すわけにはいきません。前に進むのみ。とにかく書こう、思いつくことを試してみよう。

 

   第二稿→ぜんぜんダメ、第三稿→もっとダメ……

   そうだ、方法が分からないなら、勉強すればいい

   「絵本のつくりかた」「絵本ABC」→マニュアル本は眠くなるzzzzzz💤……

   名作絵本の文を研究→美しい言葉、絶妙な音のリズム、すばらしい……

 

 いやいや、人の文章に感心している場合ではない。だんだん焦りがつのってきます。あるグラフィックデザイナーさんが私に言いました。「ハハハ、絵本って皆さん簡単に作れるって考えるみたいですけどね、意外と難しいものですよ」。やはりそうか……。完全にドツボにはまった気分でした。

 さてどうしたらいいものか。モヤモヤしていたある日、絵本の朗読コンサートをお願いしている元キャスターMさんから、一通のメールが届きました。