絵本プロジェクトのテーマ「夢をかなえるみんなの〈わ〉」
地域をつなぐプロデューサーIさんが、ぽつりとつぶやいた。
「たくさん団体があって、それぞれが一生懸命、地域を盛り上げる活動をしている。全体を見ると、あっちでも、こっちでも、同じような活動をしているんだよね。
だったら、いっしょに手を組んでやれば、もっと大きなことができるのにって、いつも思うんだ。だけど、みんな目の前の活動にいっぱいいっぱいになっちゃって、周りを見渡す余裕がない。
他と手を組むなんて、そんな面倒くさいこと、これ以上手間を増やすのはいやだってなっちゃう。
だから、いつもいっしょでなくてもいい。一回だけでも、いっしょに活動してみませんかって声をかけてるんだ。
そんなふうに、広い目で見渡して、団体や人を結びつけるプロデューサーの役割をしたいと思っている」
なるほど。うーんとうなってしまった。どこの地域でも同じなんだ。それぞれの活動が、バラバラに散らばっている。ひとつの目標に向かってゆるやかにつながることができれば、どんなに大きなパワーになるだろう。
川崎の歴史をテーマにした絵本を作って感じたこと。それぞれの時代で、大きなことを成し遂げてきた。工業地帯として一時代を築き、その公害から立ち直ったことだってそう。関東随一の大きな古墳をつくりあげたことだってそう。将軍さまの米どころとして、重要な役割を果たしていたときだってそう。それは、地域がひとつの輪になって、ひとつの目標に向かって力を出し合ったからこそ、できたこと。
夢をかなえるために、輪になること。みんなが手をつないで輪になること。それを絵本を通じて伝えたい。
以前、地域の交流会に出席したときのこと。質問タイムの発言や雰囲気から、な~んとなくだけど、他の団体の活動を応援するのではなく批判する空気を感じた。
だから、ひとつにまとまると言葉で言うのは簡単だけど、一筋縄ではいかないだろうな、とも思う。
でも、だからこそ、この絵本プロジェクトでできることはないか。
みんなが手をつないで輪になる。よし決めた。絵本プロジェクトのテーマはこれでいこう。
「夢をかなえるみんなの〈わ〉」
ちょうど、今週土曜日10月5日が、3号の保育園の運動会。そのテーマが、なんと「和(わ)」。運動会のプログラムの表紙に書かれた「和」の字を見ながら、ひらめいた。日本には古くから「和の心」を重んじる伝統があった。辞書で調べると、意味はこうだ。
☆goo辞書より
和(わ)の意味
1仲良くすること。互いに相手を大切にし、協力し合う関係にあること。「人の和」「家族の和」
2仲直りすること。争いをやめること。「和を結ぶ」
3調和がとれていること。
うん。絵本を通じて伝えたいメッセージにどんぴしゃ。
絵本プロジェクトのテーマ「わ」は、和と輪、両方を意味する。だから、「わ」というひらがなにしよう。