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今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

『ゆめみがさきのふしぎにゃトンネル』誕生秘話vol.6~新キャラクター初夢に登場する、の巻~

『ゆめみがさきのふしぎにゃトンネル』誕生秘話vol.6

~新キャラクター初夢に登場する、の巻~

 

初夢に、絵本の表紙が出てきたの――。保育園の帰り道、あずがつぶやいた。「それも、どこかで実際に見た映像じゃないかって思うくらい、はっきりとね。夢から覚めても鮮明に覚えてる」。「それどんな絵?」「忘れないうちにスケッチするよ」。

それから3日後、さっそく描いて持ってきた。スケッチには、物語の主役となる動物のキャラクターが描かれているという。

「どんな動物だろう。子供たちに人気のペンギン? キュートなレッサーパンダ? 開園後一番にやってきたシマウマ? いやいや意表をついて、あのアンニュイな表情の老ヤギだったりして」。ワクワクしながら、スケッチを取り出すと……。

「!!」 。 なんと、わたしの頭の中にあったどの動物とも違うキャラクターがそこに。梅の花を敷き詰めた、ピンクの絨毯の中央に、一匹の猫がちょこんと座っていた。絵本のキャラクターは、てっきり園内で「飼育している動物」と思い込んでいたから驚いたが、不思議と時間がたつにつれて、しっくりなじんできた。あずは、その猫を「ブサ」と呼ぶ。シニカルにニヤリと笑う表情がなんとも印象深く、一度見たら忘れられない独特の存在感。今回の絵本は、壮大な歴史をモチーフにした物語。ナビゲーター役は、オリの中の動物ではなく、自由に動き回るノラ猫が、はまり役と言えるだろう。何歳か分からない、どこから来たかも分からない、謎めいたイメージもぴったり。しだいに、絵本のキャラクターは、「ブサ」しかいないと思えてきた。

●キャラクター「ブサ」の紹介  はるか昔から加瀬山にすんでいるノラ猫。人間よりずっと長く生きているため、自分が一番エライと思っている。ちょっと生意気で、高飛車な態度をとるものの、どこか憎めないユニークなキャラクター。人間の言葉を話しているつもりだが、ときどき「な」行が「にゃににゅねにょ」になってしまう。