ゆめカフェができるまで           

今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

英訳版をつくる

 

くじらの絵本の英訳版をつくる。

 

これは、制作をスタートしたときから考えていたことだ。

プラゴミは、日本だけじゃなくて世界的な問題だから、外国の方にも手にとってもらいたいと思っていた。

 

さらに、母の気持ちを描いた絵本なので、
英語訳は、プロの翻訳家にこだわらず、
子育て中のお母さんにお願いしたいと考えた。

 

上手に訳す必要はなく、原文のままである必要もなくて、
思ったとおりに英語に置き換えてほしい。

 

絵本の日本語の原文自体も、これと決めているわけではない。
あの絵を見て、読んだ人がそれぞれ思い浮かぶ文がある。

 

たとえば、あの絵本を見て、あるお母さんは、こんな感想を話してくれた。

「心にまっすぐ刺さりました。

ただあまりに衝撃が大きくて、悲しくて、感受性の強いうちの子に見せるのは母としてためらってしまいます」と。
さらに

「自分の子供に見せる絵本として、プラごみの問題に取り組むいろんな人間の取り組みをアナダーストーリーにしてほしい」と言った。

 

すごくいいな。
そして思った。

 

母が自分の子供に伝えるなら、こんなお話にしたいっていう文をつけてはどうだろう。
そうすれば、自分の言葉で伝えられる。

 

英語訳もいろいろあっていいと思う。
お母さんが自分のフィルターを通して英語訳をつくる。

 

先日、新聞で見た。
日航飛行機事故をきっかけにつくった絵本『パパの柿の木』は、
国際科がある高校生が、翻訳の授業の課題で絵本の英訳に取り組んでいるそうだ。高校の校長先生が、この絵本のことを知り、授業で使用することを提案してくれたそうだ。
 

高校生による翻訳作業は、すでにスタートしている。柿という果物がない国は、柿という英語が分からないかもしれないからどんなふうに訳そうか、などひとつひとつ考えながら、訳を考えているそうだ。今の時代、グーグル翻訳で一瞬で訳せるかもしれないけれど、子供たちが自分で考えた訳には、血がかよっている。高校生自身が、絵本のことを知り、深く考えるきっかけにもなるだろう。

 

くじらの絵本の英訳も、機械的な翻訳ではなく

血の通った英文にできるといいなと考えている。