ゆめカフェができるまで           

今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

【5日目】「看板メニュー」を考える


2019年7月24日(水)

夏に食べたいものと言えば、かき氷。
と思ってスタートしたのだが、
調べれば調べるほど、カフェでやるとなると、あんがい難しい。

 

一番の問題は、かき氷器。
我が家にあるのは、実家から持ってきた
昔ながらのガリガリ手で削るタイプ。
あの、昔懐かしいハンドルを回すと、
シロクマ君の目がキョロキョロ動くやつ。

 

手で削るのは、手が疲れる。
昨年も、かき氷好きの2号が毎日のように作ってくれたが、
家族分でさえ、ふーふー言っていた。
時間もかかるから、お客さんを待たせることになる。

 

そこで、電動を購入しようと思っていたのだけど、
家庭用の電動かき氷器では、
長く使うとオーバーヒートを起こすらしい。
かき氷屋さんで大量に作るのには向かない。

 

業務用を調べてみたら、安くても一台8万円以上する。
レンタルもあるが、人気らしく、何ヶ月も前から予約が必要みたいだ。万が一借りられたとしても、広場でOPENするなら、電源はあるのか。

 

次の問題は、氷。
かき氷を大量につくるとなると、
業務用の「一貫」という単位の氷を使うらしい。
その氷を、冷蔵庫のない炎天下の広場で
どうやって冷やしておくのか。

そもそも届いてから祭り当日まで、我が家の冷蔵庫には、
そんな大きな氷を収納しておけるスペースはない。
キャンプをしないから、クーラーボックスも持ってない。
さらに、車がないのに、氷をどうやって現場まで運ぶのか。

 

うーーーーーん。いろいろ問題がありすぎる。
2号と時間をかけて話し合ったが、
けっきょく、今回はかき氷は難しいという結論に達した。

 

ネバーギブアップ。
かき氷が難いなら、ほかに何があるか。

かき氷以上に、魅力的な夏のおやつなんて、あるだろうか?

私が得意なマンゴーラッシーや自家製レモネード。
妹のレシピで、ノンアルコールのサングリアやモヒート
クックパッドの本に掲載された)。

 

いろいろあるけれど、いまいちピンとこない。
でも、かき氷は今年の夏は難しいのだから
なんとか他の線を探らなければ。
何がいいかなーと考えていたところ、
今日、大ヒントに出会った。

 

たまたま昼休みに、健康診断の予約をしようと
病院の待合室に入ったところ、
ちょうどNHKの番組「ひるまえほっと」で、
美しいブルーの飲み物が映し出されていた。

 

昔ながらの定番ドリンク、「クリームソーダ」である。
私がいつも見かけるのは、グリーンだけど、
紹介されていたのは、深い海を表現した濃い群青色のようなブルー。
なんて美しいのだろう。思わず画面に見入ってしまった。

 

まるで、お酒のカクテルのよう。
アトリエに併設されているカフェのメニューで、
以前は、アトリエに来たお客さんが休憩で立ち寄っていたのが、
今では、この海を表現したクリームソーダが人気で
カフェを目当てにやってくる人が多いのだとか。
飲む前に、じっと眺めて
海の世界を楽しむお客さんもいるそうだ。


「大人がはまるクリームソーダの魅力」という企画。
昔懐かしいドリンクが、最近若い世代を中心に人気が高まっているそうだ。
私が面白い!と釘付けになったのは
「クリームソーダ職人」という肩書きで活動している男性。
恒川寛弥さん。

 

きっかけは、おととし、
クリームソーダって自分で作れるんだっていうことを知った。
友人たちといっしょに作って飲んでみたら、
本当においしくて、見た目もきれいで
すっかりはまってしまったそうだ。

 

料理家やシェフやパティシエというと、
一人前のプロになるのに長い年月がかかるけど、
クリームソーダというピンポイントに絞れば、
料理をしたことがない人でも、すぐできるようになるし、
1年くらいで、職人として働けるくらいの腕になるのだ。

 

うーーん、なるほど、おもしろい。
病院の待合室だと音のボリュームが小さくて、聞こえにくい。
画面の真ん前ににじりよって、一生懸命メモをとる。
あやしい。
背中に視線を感じつつ、メモを続ける。

 

恒川さんが、作ったクリームソーダ
SNSにアップしているうちに、徐々に人気が集まった。
今では、「旅する喫茶」という名前で、全国あちこちで
カフェイベントを開いているそうだ。

 

これもおもしろい。同じ場所に長期間OPENするのではなく、
イベントとして数日限定のカフェを開くという手もあるのか。

SNSのファンが集まって、大入り満員。
お客さんが、「懐かしい感じがするし、見た目がきれい。
ひとつひとつのクリームソーダに物語があるのもいい」と言っていた。

 

カキ氷だったら、青はブルーハワイ、赤はいちごとかだけど、
今回紹介されたクリームソーダには
それぞれ独特のネーミングがある。
赤のグラデーションは、「夕日が沈む頃の空色」
さわやかな空色は、「夜明け前の青」
冒頭の青色は、深い海だったかな。


さらに恒川さんの活動は広がる。
SNSを見て、ガラス作家の女性が、
このクリームソーダに合うグラスをつくりたいと
コラボを申し込んだそうだ。
ガラスに泡のような気泡を混ぜて、ブルーのソーダを入れると
本当に海のような見た目になる。

アイスクリームもソーダの泡も、ほんの一瞬。
すぐに溶けて消えてしまうものだけど、
ガラスに気泡を封じ込めれば、長く楽しめる。
恒川さんとガラス作家が、コンセプトから話し合って
生まれた作品だそうだ。
本当に素敵なコラボ。

派手に宣伝しなくても、
自分の核となるものを見つけ、
コツコツ磨いていれば、活動は自然に広がっていく。

 

恒川さんいわく。
「僕にとってクリームソーダは、単に飲み物というだけではなく、人とのつながりや人との出会いをつくってくれるもの。
家族や友だちとワイワイ言いながら作ってほしい」

この番組を見て思った。
アニマルカフェの看板メニュー、
これいいんじゃないか。

○夏にぴったり。
○見た目がおしゃれ。
○子供も大人も好き。
○物語がある。
→海のソーダは、くじら絵本の冒頭のページに
イメージがぴったり。絵本とクリームソーダのコラボ。いいかも。

さらに、ここ大事。
我が家は、昨年から炭酸水にはまっている。
ウィルキンソンの消費量があまりにも多く、
ペットボトルのゴミが多くなるので、炭酸水メーカーを購入した。

クリームソーダは、その炭酸水に
色つきシロップとガムシロップを加えたもの。
つまり、我が家のふだんの暮らしの延長線上にあるドリンクと言える。
クリームソーダが大好物の2号に提案したところ、
案の定、作ってみたい! とノリノリ。

自分で作れば、味はもちろん、炭酸の強さも自由だし、
何より思い立ったときに、すぐ飲める。

まずは自分が欲しいものを作って、それをお裾分け。
ナリワイづくりの大原則。