ゆめカフェができるまで           

今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

会社に勤める以外の働き方をつくる

 

絵本の朗読会で、音楽をお願いしている友人と会った。

彼女は、3年前、肺がんの告知を受けた。
幸い、健康を取り戻し、子供たちも中学生と高校生になったので、パートの仕事を始めようと考えているそうだ。

 

でも、採用面接を受けたとき、がんということを話したら、20社以上落ちたという。病気のことをかくしているのは、なんとなくいやだし、具合が悪くなって急に入院ということも考えられる。そういうときに、なぜ黙っていたのかと思われるのはいやだからと言っていた。

 

不採用の理由は、がんというだけではないかもしれない。
今も治療のため通院しているので、薬の副作用がきついときがある。
そのときのことを考えると、働けるのは週2日が限度。でも、募集の条件は週3日以上が多いし、週2日だと一日の勤務時間が長かったり、休日に出勤してくださいとなったりする。

 

こう不採用が続くと、やっぱり週3日にしようかともよぎるけれど、無理をして家族に迷惑をかけるのは、何よりも避けたい。彼女にとって何よりも大切なのは、がんになった彼女を献身的に支えてくれた家族なのだ。

 

だた、今結果を待っている一社がダメだったら、いったん仕事探しは休みにするそうだ。不採用通知を受け取るたびに、落ち込んでいく彼女を見かねた家族から、やんわり止められたそうだ。でも、彼女のすごいところは、何があっても前向きなところだ。病気が深刻な状態のときも、今も、それを感じさせないほど明るい。
彼女はこう言った。

 

「あ、そうそう。朗読会の企画をもらったのをきっかけに、音楽療法士の資格をとろうと思って勉強を始めたのよ。
まささん見てると、会社に勤めるとか、そういうことではなくても、アイデアで社会とつながれるんだなって発見したし、力がわいたよ」。

 

そう言われて、はっとした。
そうか。会社に勤める以外の働き方を、私はつくろうとしているのだ。いつも目の前のことだけしか見えなくて、目標とか、どこを目指しているとか考えるのは、あまり得意ではない。でも、今日彼女に言われて、そういうことなのだと、あらためて意識した。

 

彼女のような病気以外の理由でも、会社に勤めることが、いろいろな事情で難しい人がいる。私の大切な人も、小学校のころから40歳になる現在まで、断続的に引きこもりが続いている。会社に入っても、人間関係に悩んでやめてしまう。

 

私自身も、勤めるのが難しいひとりだ。
だからこそ、会社に勤める以外の選択肢をつくりたい。
私と大切な人が、社会の役に立って、自立できる道をつくりたい。