ゆめカフェができるまで           

今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

タラブックスのような美しい絵本を販売する「シルクスクリーン」「手漉き紙」「和製本」

2019.6.16

今日は、家族でピヨちゃんのお墓参りをして、
いつものように、等々力公園を散歩した。

川崎市市民ミュージアムの入り口で、
パンフレットをなにげなく眺めていると、
「版画アトリエ開放」という文字が目に入った。

シルクスクリーンのアトリエを一般に開放しているそうだ。
若い版画アーティストが指導員として常駐しているらしい。

シルクスクリーン」と聞いて、
ふと思い出した。

インドのちいさな出版社「タラブックス」。

美しい手づくり絵本をつくり続け、世界中の絵本好きに
愛されている出版社だ。
日本では『夜の木』という絵本が知られている。

そのタラブックスが印刷のときに使っている方法が
シルクスクリーン」だった。

一般的な本は、機械によるオフセット印刷
シルクスクリーンは、手間がかかるが、
独特の繊細な色合いが出るという。

あずちゃんは、くじらの絵本を
「アートのように、オブジェのように、
インテリアとして飾れる絵本にしたい」と言っていた。

そこで、思いついた。
デジタル絵本で出版するのがひとつ。
もうひとつ、「シルクスクリーン」で
「手漉きの紙」に印刷して、「和製本」をほどこした
美しい絵本を販売できないだろうか。
一冊一冊手作りで。

タラブックス、まさ出版バージョン。

それを街の本屋や雑貨屋さんに少しずつ置いてもらう。
予約販売にしてもいいかもしれない。

(ちょっと裏話)
私とタラブックスの出会いもまた
不思議な偶然からだった。

2年ほど前のこと。
尊敬する経営者、佐藤かおりさんのもとに
『タラブックス』(玄光社)という本が送られてきた。
なぜ送られてきたのか心あたりがないし、
そもそも送り主が誰かも分からない。
はてどうしたものか。

佐藤さんは表紙に書かれた「ちいさな出版社」という言葉を
ふと目にして、私のことを思い出してくれたそうだ。

小さな出版社といえば……というふうに。
そうだ、この本をあげようと
なんと2年ものあいだ、佐藤さんのオフィスに
置いてあったそうだ。

なにかとバタバタしていてご無沙汰していたが、
2年ぶりに佐藤さんのオフィスを訪れたとき、
デスクの上にこの本が置いてあった。
「そうそう、この本渡そうと思っていたの」と言って
いただいたのが、『タラブックス』というわけだ。

読めば読むほど、これは、まさにうちの出版社のことだと
思うことばかり。
とくにこの部分。
「著名な作家やアーティストは避けるようにしています。
私たちは世の中にまだ知られていない非凡な才能を探しています」
そうそう、私もそう。
思わず口に出してしまった。

もう世に出ているプロには、あまり興味がわかない。
それはもう、うちのオリジナルではない気がして。
まだ誰も掘り当てていない宝を探し当てることにワクワクする。

もうひとつ。
「会社は小さいままのサイズがちょうどいい」
これも、私の気持ちそのまま。

遠い異国の小さな出版社に、
ものすごく親近感がわいた。

この本が私の手に届いたのは、何か運命のような気がする。
まさ出版の道しるべとなる不思議な出会いに、心から感謝。