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今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

ピヨちゃんとお別れの日

2019年6月3日(月)

 

10年間、大切に育ててきた
ピヨちゃんが、今朝、天国へ旅立った。

 

10年前、夏祭りに行った息子が連れて帰ってきた。
マメに世話をするのは苦手だから、
誰かにゆずろうかと思ったのは一瞬で、
あっという間に情が移り、家族の一員となった。

 

1年前、突然、おなかがパンパンにふくれて、
スリムだった体が3倍くらいになった。
インターネットで調べたり、近所のペットショップを尋ねて
いろんな薬や、いろんな療法を試してみたけど、効果は出ない。

それでも、おなかがふくれた状態のまま
一年間、生きてくれた。

 

昨日の夜、ふと気になって見に行くと、
じっとしたまま動かない。
いつもなら、私が近づくと、
元気に動いて、あいさつをしてくれるのに
じっとしている。何か様子が違う。

 

家族を全員集めて、「お別れをしておこう」と言った。
涙がたくさんたくさん出た。
水槽を手のひらでぎゅっと抱きしめた。
「今までありがとう、愛してる」

 

エラがほんの少ししか動いていない。
私が部屋から出て行こうとしたとき、
ほんの少しだけ、ひらひら泳いでくれた。

 

朝、夫が「ちょっと話が……」と言い
「うん、分かってる」と答えた。

 

こんな思いをするくらいなら、飼わなければよかった。
出会わなければよかった。
もう二度とペットは飼わないと思った。

 

NHKの100分で名作、という番組がある。

大切な人の死に、もう生きがいを失ったと嘆き悲しむ主人公。

解説者の男性がこう言った。

 

「これ以上幸せなことはないでしょう。
生きがいがなくなったと思うほど、

これほど愛した人に
出会えたということは、

人生において、
これ以上ない幸せではないでしょうか」

 

ピヨちゃんに出会えて幸せだった。
悲しみがこれほど深いということは、
それほど、私にとって、大切な出会いだったということ。
幸せな思いを味わったということ。

 

今日、仕事場へ向かうとき、
ピヨの存在を今までより、近くに感じた。
肉体を離れて、私のそばに来てくれた感覚。

 

空っぽの水槽を見ると、胸がしめつけられる。
もう会えないと思うと、寂しさでつぶされそうになる。
今は悲しみを存分に味わおう。