ゆめカフェができるまで           

今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

原画展を開くことになった

絵本の原画展をひらく

ブログだけで細々、こつこつやっていこうと
思っていたまさ出版だけど、
ひょんなことがきっかけで、
絵本の原画展を開くことになった。

いろいろな偶然がかさなって、その経緯が面白い。
時間がたつと「こうなった」という
結果のみしか記憶に残らないと思うので、
忘れないうちに書き留めておく。

【まさ出版の事務所がほしい】

数ヶ月前のこと。あずちゃんが言った。
「まさ出版の事務所をつくるのが夢。場所はね、もう決めてるの。二ヶ領用水沿い。そこで、夜でも昼でも、好きなときに絵が描けるようにできたらいいな」
「子どもを遊ばせながら絵を描けたら最高。まささんが言ってた、あのまさハウス、実現したいと思ってる。そうねえ、5年後くらいまでには」

最初は、まさかと思った。
そもそも定収入が入る道筋が見えていない。
まさ出版の店を開いて、絵本を売ったとしても
家賃をまかなえるほどの収入はまだ難しいだろう。
原稿の仕事は、家で集中してするものだと思い込んでいたし。
もしそうなったとしても、まだまだ先の話だろうな。

【きっかけは、三鷹無人本屋さん】

ところが。
ゴールデンウィーク前に、たまたま見た新聞記事で、
三鷹にある無人古本屋さんのことを知った。

店主は、本好きのサラリーマン。
処分したい1000冊の古本で本屋さんができないかと思いついた。
でも、仕事があるので店番はできない。
そこで、無人の古本屋を始めたのだそう。
支払いは、300円と500円のガチャガチャ。
週2回ほど、本の整理に立ち寄るだけで
365日24時間オープンしている。

たまたま、我が家にも
本好きのサラリーマン(夫)がいる。
たまりにたまって本棚からあふれた本の山を
10日間のゴールデンウィーク中に
なんとかしたいと言っている。
この本を利用して何かできないだろうか。
最初は、こんな単純な思いつきだった。

夫も私も本を読みながら線をひきまくるタイプなので
ブックオフに持っていってもたぶん二束三文。
だけど、よく考えてみると
同じ立場で、同じ希望や悩みを持っている
パパやママにとっては、
この線をひいたところこそが面白いのではないか。
まるで、「ここ面白いよね」と、会話しているみたいで。

つまり、一般的な古本市場では、しるしのついている本は
価値が落ちるけれども、
自分と同じ立場のパパやママにとって
「しるし本」は、コミュニケーションのツールとして
価値が上がるのではないかと思ったのだ。

【お寺とコラボ】

思い立ったらすぐ行動しなくては気が済まない。
新聞記事を読んでから数日後、
近所のお寺にミニライブラリーを
したいとメールを送ってみた。

なぜお寺?
単純に、お寺という空間が好きなのだ。
寺に行く機会はそんなになかったのに、
さいころから、なぜかお寺が気になる。
2年前、まさ出版をたちあげたとき、
「お寺を拠点にしたい」という企画書を書いた。

たくさんあるお寺の中から、なぜそのお寺を選んだのか?

それは、毎日ウォーキングをするときに見かけていたから。
木のぬくもりがある素敵な建物だなあと気になっていたのだ。
ホームページを見ると、
「お寺に行くのが好きと言ってもらえる空間を目指したい」とある。
ここにメールを出してみようと思った。

お寺としては、
突然のことで困ってしまうかもと思っていたが、
予想外に、「とても興味があります、ぜひお話を聞かせてください」と
ご住職からお返事がきた。

会ってお話してみると、
なんと偶然にも、ご住職自身がお寺で
ライブラリーを開きたいと、以前から考えていたのだそう。

さらに、もうひとつ偶然がかさっなって、
私がご住職とお会いした同じ日に、
大量の本をお寺に寄付したいという方が
いらっしゃったのだとか。
あまりの偶然に、ほ、本当ですか……と思わず絶句。

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絵本の原画展を開く

お寺の境内を歩いていたら
ゴールデンウイークの期間中、絵の個展が開かれていた。
娘といっしょに散歩がてら通った。
(娘はお菓子をもらって大喜び。あのお姉ちゃんに会いたいと毎日言う)

画家さんと話しているうちに
もうすぐ完成予定の絵本の原画展を
お寺で開いてはどうかと思いついた。

お寺の住職さんにお話したところ、
いいですよ、とあっさりOK。

展示会には3つのコーナーをつくりたい。
テーマは、「絵本」に絞る。
ほかのものは、あくまで+αとして。

①くじら絵本の原画展(+αぶさと神様)
②まさ出版の絵本を販売(+α夫の古本)
③あずちゃんの絵本蔵書ライブラリー(+α夢をかなえる「しるし本」)


【個展のメリット①マーケティングの貴重な機会】
個展に通って、開催するメリットが見えてきた。

訪れる人の数はそう多くない。
絵を購入するお客さんもそうそう現れない。
それでも、最大のメリットは
お客さんの生の声が直接聞けること。

どの絵が気に入りましたか?
どんなところがよかったですか?
と聞くと、意外な点に気がつくことが多い。

たとえば、この絵画展では、
画家さん自身が一番気に入っている絵と
来場者の一番人気は、違う絵だったのだそう。
画家さんの絵は、鮮やかな色彩が特徴なのだけど、
それとは違い、モノトーンが中心で一見地味なこの絵が人気というのは、
意外だっただろう。

自分のよい点、人にはないオリジナリティが
見つかれば、その1点をピンポイントで
掘り下げていくことができる。
つまり、個展はマーケティングの場として最適なのだ。

家にこもって書き続けるだけでは、
ひとりよがりになってしまうこともあるから。

【個展のメリット②人とのつながりができる】
もうひとつは、出会いがあること。
絵画展に来場するのは、画家さんの友人や
お寺に法事でいたした方がメインだったが、
たまたま通りかかって見ていく人もいる。
私のように。
そのつながりが、ひょんなところでつながって
よいご縁を生み出すことだってありそうだ。
私自身、今までの大切な出会いは、偶然ということが多い。
家にこもって描くだけでは、その偶然も生まれない。
個展は、人とのご縁を結ぶ場でもあるのだ。

【個展のメリット③コミュニティの核をつくるきっかけになる】

個展の会場を提供する側にもメリットがある。
地元の人に集まってもらいたいと思っている場があるとする。

自分でイベントやワークショップを開くのは、
大きな手間と人件費がかかる。
人を集めたり、告知したり、
運営は個展を開く人がやってくれるのだから、
大助かりというワケだ。

コミュニティスペースを運営する知り合いが話していた。
新聞が取材にきて、100人も集まったんですか?と
驚いていたけれど、
マルシェには20店の出展者(近所の人)がいる。
マルシェを開く人たちはもちろん、
それぞれの出展者の友人家族が10組ずつ訪れたとしたら
100人来場者がくることは最初からわかっていた。
地元の人を集めたいときは、
自分でイベントを開くより、イベントを開いてもらったほうが
効率的なのだと話していた。

【個展のメリット④期間限定で、まさ出版のリアルの場を作る】

まさ出版は、インターネット上だけ、とおもっていたけれど、
期間限定でリアルの場所を持つと、宣伝効果が大きいだろう。
そのきっかけが、
絵本の原画展ではないか。
そこにくっつけて、古本ライブラリーと絵本の販売もできる。

ぶさの絵本を作った印刷所は、
誰の目にも触れないような、駅から遠い奥まった場所にある。
私がその印刷所のことを知ったのは、
期間限定で、人がたくさん集まる場所に
店舗を開いていたからだ(プレハブの小さな小屋だった)。
やはり、人目に触れるところでリアルの場を持つことは
チラシを配るより、ずっと宣伝効果が高い。


【絵本を描く体験ワークショップをプラス】

展示会の期間中、テーブル席があるから
絵本を描きたい人が集まって、描く場にしよう。
そうだ。
展示会というと、一般的に
訪れた人は、人が描いた絵本を見るだけだ。
自分が描く体験ができるワークショップをすれば
オリジナルの展示会になる。
あずちゃんも、その場で次の作品を描いていればいい。
とにかく描きたいものが、次から次にわいているんだから。