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今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

EPILOGUE ~絵本で広がる〈プラごみゼロ〉の輪~

絵本で広がる〈プラごみゼロ〉の輪

 

今、世界中で大きな社会問題となっているプラスチックごみによる海の汚染。とくに、5ミリメートル以下の「マイクロプラスチック」による汚染は、全国の河川にも広がっていることが分かっています。

 

2018年夏、神奈川県鎌倉市由比ガ浜で、シロナガスクジラの赤ちゃんが打ち上げられ、胃の中からプラスチックごみが発見されました。このニュースを知ったとき、忘れられない悲しい出来事を思い出しました。

 

4年前の今日、わたしにとって大切な人の、大切な息子が、亡くなりました。まだ生まれて数か月の赤ちゃん。突然の別れに嘆き悲しむ彼女の背中を、ただただ必死にさすり続けることしかできませんでした。

 

赤ちゃんクジラがクレーンで運ばれる映像に、大きな衝撃を受けるとともに、真っ先に母クジラのことが頭に浮かびました。あの日の彼女の姿と重なったのです。

映像にはうつっていないけれど、母クジラは、きっとどこかからこの様子を見守っているでしょう。どれほど悲しい苦しい思いをしているだろうか……。

 

 

このニュースをきっかけに、わたしは母子クジラの物語をつくることにしました。クジラからのメッセージを受け取り、伝えたいと思ったのです。

 

世界中の海には、人間の出したプラスチックごみによって苦しんでいる生き物がたくさんいます。マイクロプラスチックが、魚の体内に蓄積され、それを食べた人間の健康に影響を与える可能性もあると、専門家は指摘しています。

 

絵本のタイトル「Crystal Blue」は、透き通った美しい海を子どもたちに残したいという思いをこめました。

わたしたちの身近な海、世界中の海に、プラスチックごみがなくなる日が、1日もはやくおとずれますように。

 

             

2019.4.5 安井雅子