ゆめカフェができるまで           

今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

夢見ヶ崎動物公園絵本プロジェクトvol.22             ~未完成のまま絵本公開~

 2018年8月19日(日) 絵本のストーリー会議。

 イラストKちゃん、ディレクターNちゃん、マップ担当Tちゃんが、我が家に集合しました。会議の目的は、ストーリーの修整と、それから……、誰にも言っていませんでしたが、じつはこの日、ある重大なプランを提案しようと考えていました。

 イラストをテーブルにひろげ、ワイワイにぎやかに話し合いが進みます。今日言おうと何日も前から決めていたのに、いざとなると、なかなか切り出せません。

 いよいよ会議も終盤に入ってから、前置きもなく唐突に切り出しました。「この絵とストーリーを今の未完成のまま、発表してはどうかな」。

 「???」。案の定、3人ともハトが豆でっぽうをくらったような顔で固まっています。「あのね、この本に書いてあったの。ちょっと読んでみて」。

 

 ――プロットは考えたし第1章は書けたけど、その後がどうしても進まない、という状態になったら、その時点で第1章だけをネット上に開示してしまってもいいのです。そうすれば、第1章の内容についても、そして今後の展開についても、市場からのフィードバックが得られます――

『マーケット感覚を身につけよう』ちきりん著(ダイヤモンド社)※詳細は「masasyuppanの日記」2018年8月8日

 

 「文章を書くときって、最初はこの文がきて、次はこの文がくるって、パズルがぴたっとはまるような感覚があるんだけど、絵本には、その”パズルぴたっ”がないの。一応最後まで書いたけど、何か他に答えがあるような……もっと他のストーリーがあるような……、そんな感覚があって。このまま答えが降って来るのを待ってたら、締め切りすぎちゃうから、思い切って未完成のまま公開しちゃったらどうかと思って」。

 この日、結論は出ませんでしたが、作成中の絵と文の写真を撮影して解散しました。 

 翌日、保育園の帰り道。「昨日は言わなかったけどさ、未完成のまま公開するって聞いたとき、内心のけぞったわよ」とKちゃん。「ごめんね、言ってなかったもんね。もちろんKちゃんが反対なら公開しないよ」。確かに、いきなりの提案で、不安に思うのは無理もありません。

 そのあとKちゃんがぽつり。「Yちゃんの文、このままでいいと思うから」。

 初めて、Kちゃんが私の文にOKをくれた瞬間でした。

 

 その翌日、編集者Iちゃんから、メールがきました。先日、絵本のストーリーを送っていたのです。

 ――さてさて!絵本ざざっと拝見しました~。いいじゃないですか―、正直、絵本に関しては、好みもありますし、正解が限りなくない世界だと思ってます。Yちゃんがよくて、クライアント側がよい方向をさぐっていけばよいかと。私だったら、、、というところで言うと――。その後にIちゃんが考えたストーリーが、細かく記してありました。

 「正解が限りなくない世界だと思ってます」

 この一言が頭の中でこだまし、モヤモヤがすーっと晴れていくような気がしました。パズルのピースがぴたっとはまる「答え」をずっと探してきたけれど、そもそも物語に正解はない。答えは、無数に存在する。ならば……、やはり今公開して、無数の物語を募集したい。

 ひとつの絵から生まれる、自分だけのオリジナルストーリー。Iちゃんの物語は予想外のあらすじだったし(夫が横からのぞき込んで「さすが編集者だな」と感心していた)、創造力が豊かな子供なら、大人が考えもしないような奇想天外な物語が生まれるかもしれない。

 印刷するストーリーはひとつだけど、ホームページに、募集したオリジナルストーリーを紹介してはどうだろう。物語を創るワークショップもいいな。これから生まれる未知の物語に、ワクワクしていました。

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☆本日のYsカフェ→〈子供メニュー〉マンゴー豆乳ラッシー〈大人メニュー〉ココナッツミルクカフェオレ。オーガニックはちみつのみで味つけした我が家定番のヘルシードリンクです。

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