ゆめカフェができるまで           

今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

「ゲームで遊ぶ」から「遊ぶゲームをつくる」              石戸奈々子(NPO法人CANVAS理事長) 

『デジタル教育宣言』石戸奈々子著(KADOKAWA

 仙台市でプログラミングのワークショップなどを行う「CoderDojo Sendai」を開設した砂金善弘さん。立ち上げるきっかけとなったのは震災でした。ボランティアで被災地を訪れた砂金さんは、子供たちが外でもゲームで遊んでいることに気が付きました。

 「このゲームをする時間を、ものをつくる時間に変えられないだろうか?」

 この問いは、私の中でも常にありました。我が家の子どもたちもゲーム大好きっ子。受け身で遊ぶだけではなく、もっとこの「好き」を生かす方法はないものだろうか。

 そんなとき、著者の石戸さんにお話を伺う機会がありました。

「ゲームで遊ぶ」から「遊ぶゲームをつくる」

 プログラマーだからできることなのかと思っていたら、なんと「子供でもできますよ。未就学児だってできます」。そ、そんなことが可能なんですか!? 石戸さんの言葉にドギモを抜かれました。

 その秘密が、子供向けに開発された「スクラッチ」というプログラミングソフト。難しいプログラミング言語やITの知識がなくても、アイコンをクリックするだけで、プログラミングを体験できます。

 石戸さんにお話を聞いたあと、さっそく我が子に試してみようとしましたが……。3歳児、お兄ちゃんやお姉ちゃんのゲームには、興味深々なのに、Scratchの画面を出すと怒る。小6と中2のお姉ちゃんお兄ちゃんも興味なし。

 石戸さんは、興味があるときに与えないと、逆に嫌いになって逆効果とおっしゃっていました。ご自身のお子さんでさえ、関心がないようなので無理にさせようとしないそうです。なので、あっさりあきらめていました。今は、そのタイミングではないのね。

 ところが、今日、小6の長女が突然プログラミングに興味を示しました。ポケモンの最新ゲームカセットが欲しいと言って、ゲームの内容を目を輝かせて説明するので、「そのゲーム、おもしろそうだから、自分でつくったら?」と言ってみたのです。プログラミングって、自分で好きなゲームをつくることもできるんだって。

 「へえ」とちょっと乗り気の長女。そういえば、最初にスクラッチを見せたときは、猫のキャラクターを右や左に動かすだけでした。ゲームを作れると聞いて、ちょっと関心を示した様子。なるほど、好きなものとくっつけて提案すればいいんだな。

 動物が大好きな長女の夢は、仲良しのお友達と「アニマルカフェ」をオープンすること。本当は猫カフェを開くつもりだったんだけど、猫だけだと、お客さんが限定されるから、収入が増えるようにアニマル全般にする、となんとも現実的な理由だそう(笑)。それを思い出し、「アニマルカフェ」のゲームをつくるっていうのはどう? キャラクターも、ゲームの名前も自分でつくるの。「へええ」。案の定、ますますのってきました(ニヤリ)。

 その後、キャラクターの絵を描いたり、ネーミングを考えたり、二人で大盛り上がり。ネーミングは、ちいさい+アニマルで、「ミニマル」。まあどうなるか分かりませんが、あまり期待しすぎず。長女はパソコンをさわるのが好きなので、世界が広がるといいなと願っています。