ゆめカフェができるまで           

今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

いちばん簡単で、今すぐできることを一つ試そう           松浦弥太郎(「COW BOOKS」代表)

『軽くなる生き方』松浦弥太郎著(サンマーク出版

「田舎暮らしがしてみたいなあ」。夏休み初日の今朝、11歳の長女がつぶやきました。都会より田舎のほうがいい。だって木登りの練習はできるし、動物とも遊べるでしょう。理想は、「おさるのジョージ」みたいな感じ。あんなふうに、うちも田舎の別荘があればいいのに。

 ああ、あれはね、アメリカのお話。欧米では、一般市民でも別荘を持つのが珍しくないみたいだけどね。うちは無理無理。いつもなら、そんなふうに聞き流していたでしょう。でも、娘のつぶやきを耳にして、松浦弥太郎さんの言葉が浮かびました。

 「思いつきは100パーセント実行する!」。

 そうは言っても、別荘なんて、どう考えても無理があるでしょう。経済的なことだけではなく、建物の管理などハードルが盛りだくさん……。

 「資本金や人手が必要なことはすぐにできないけれど、自分ひとりでできる小さなことも必ずあるので、まずはそこから着手する」(松浦さん)。

 いきなり大きな目標にトライすると、途中で挫折してしまいがちだけど、今すぐできる小さなことはすぐに結果が出るから、達成感を感じることができます。それが原動力となって、次の小さな一歩、次の小さな一歩。小さな一歩をくるくる繰り返しているうちに、「いずれ大きなこともできるはず」(松浦さん)。

 「自分ひとりでできる」というのも大きなポイント。

 「人に頼まなくては実現できない=自分の夢を人の手にゆだねている」ことになります。人が動いてくれるまで、じっと待っているうちに、気持ちが冷めてしまうかもしれません。思いつきは、熱いうちに行動に移すことが肝心。まずは、自分ひとりでできる、小さなことから、今すぐスタートしてみる。くるくる前進しているうちに、周囲の人が、「こんな方法もあるよ」と教えてくれたり、「いっしょにやるよ」と手助けしてくれるかもしれません。

 はなから無理だ、もしくは、今は無理だからいつかね、と流していたこと。それをパチンと切り替えて、「思いつきは、100パーセント実行する!」。時間、お金、人手……、さまざまな制約を全部いったん頭から出して、とにかく一歩を踏み出す習慣を身につける。すると何か面白いことが起こりそうな――。

 ちなみに、このブログも「思いつきは、100パーセント実行する!」のひとつです。1年半前に出版社を起ち上げようと思ったものの、資金も時間も知識も、ないないずくし。でも、前田めぐるさんの「ネットショップは自分ひとりで完結できる」(2018年7月11日ブログ)という言葉から、「ホームページならできそう」と思い立ちました。

 後藤由紀子さんが好きな雑貨を並べる「hal」のように、自分の好きな文章を並べる「まさ出版の日記」という小さなお店を開こう。思い立ったその日に、ワードの文章をブログに貼り付けて、わずか10分で開店準備が完了しました。まさに、「いちばん簡単で、今すぐできること」。

 編集者Iちゃんが提案してくれた「感想文指導つき一日学童」も、プログラムとテキスト作って、場所と託児スタッフを確保して、お客さん集めて……と考えたら、いつになることやら。そこで、息子に教えたときの経験をもとに、私なりに読書感想文の書き方をまとめて、「ママのための読書感想文講座」(2018年7月18日ブログ)をアップしました。これも、「いちばん簡単で、今すぐできること」。

 小さな一歩を繰り返しても、最初に想定していた夢がかなわないこともあるでしょう。「それでも、一歩前進に変わりはない」と松浦さんは言います。「なぜなら、ダメだったということは、この道は行き止まりというサインだから。失敗は必ず、次の新しい道を教えてくれる」。新しい道をまた、くるくる小さく前進しているうちに、ああこれが本当に目指していたものだったと、心から思える目標にきっと出会えるはず。

 どんな方向に転がるのか、今のところ検討もつきませんが、次のターゲットは、娘が今朝思いついた”別荘”(笑)。

「思いつきを全部試していけば、やがては直接的にビジネスにつながっていく場合もある――僕はそう信じている」(松浦さん)。