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今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

夢見ヶ崎動物公園絵本プロジェクトvol.20~「ふしぎにゃトンネル」縄文時代にタイムスリップ!~

 

  幾度となく「ボツ!」を重ね、2018年7月4日、やっとこさ、絵本のストーリー第一稿が完成しました。

 

 夢見ヶ崎動物公園には、カイヅカイブキという名前の木のトンネルがあります。トトロに出てくるような、おもしろい形のトンネルで、初めて公園を訪れたときから、強く印象に残っていました。

 トンネルの中に入ってみると、薄暗くて、ひんやりとした空気が流れていて、外の世界と遮断されたような不思議な空間。どこか異世界へ通じる秘密の通路、、、といった雰囲気です。

 イラストレーターKちゃんも印象に残ったようで、何枚も写真を撮っていました。このトンネルが、のちに、物語の重要なカギを握ることになったのです。

 「あのトンネルがタイムマシンになって、木のすきまから昔の風景が見えるっていうのはどう?」

 後日、Kちゃんが、興奮したようにアイデアを話してくれました。「それいい、それで決まり!!」

 主人公のノラネコ、ぶさについて、トンネルの中に入ると、タイムマシンに変身して、縄文時代までワープする……。物語の筋書きが決まりました。

絵本のタイトルは、最初に感じたイメージのまま、「ふしぎにゃトンネル」(のちに、「ゆめみがさきのふしぎにゃトンネル」)にしました。

 

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 ここまでは、5月の時点でできていたのですが、ひとつだけ決めかねていた重要なシーンがありました。いくら考えても出てこないので、とりあえず放っておこうと、のんきに構えていたところ、1か月以上もたったころ、何の前触れもなく降ってきました。

 6月30日「まざーまっぷ~幸区版~」会議(Vol.19)の最中のこと。マップの話を終え、来年2月の朗読コンサートについて、プロジェクトの新メンバーであるJちゃんに説明をしました。「絵本の朗読に、音楽を合わせて、観客が物語の世界にトリップするような舞台をつくりたいんです」。

 するとJちゃん。「ああなんとなくイメージ分かります。ディズニーランドに行ったとき、そんなアトラクションがありました。スクリーンの場面と連動して、客席に風がふいてきたり、水がかかったりするんです。それで、スクリーンの中の世界にトリップしたような気分になるんですよね。風をふかせたり水をかけたりすることはできないにしても、絵本のシーンに合わせて、音や照明で臨場感を演出することはできますね」。

 「〈風〉と〈水〉……」、なんだろう、なにかひっかかる……。

 ひらめいた!! このとき突然、最後にひとつ、決めかねていた絵本のシーンが、頭に浮かびました。うん、これでいこう。ノートに大きく「風」「水」とメモしました。ありがとうJちゃん(T_T)。

 浮かんだイメージが消えないうちに、形にしておきたい。4日後の午後、5時間ほどかけて、第一稿を一気に書き上げました。エネルギーをすっかり出し尽くして、もぬけの殻。ふらっふらになって、娘を迎えに行くと、なんとKちゃんとばったり。彼女は本業の仕事がかきいれ時らしく、ここしばらく顔を合わせていませんでした。この日は、たまたま早くあがれたそうで、はかったかのようなグッドタイミング。私も期待はしてなかったものの、もしかして会えたらと思い、できたてほやほやのストーリーをプリントして持参していました。

 「じつは……今日できたんだ、ストーリーが」「えー、本当?うれしい」。新人記者のように緊張しながら、うやうやしく原稿を差し出すと、今度はKちゃん、その場で目を通さず、「家に帰ってゆっくり読ませてもらうね」と言って、そのままバッグにしまいました。またボツだったらどうしようと、ドッキドキ。今このブログを書いている時点では、まだ反応が返ってきてないのですが、ほんとに心臓に悪いです、待ってるこの時間……。

 とにもかくにも、ようやく、人様にお見せして相談できるレベルまでたどりつくことができました。途中で休んでいた期間もありますが、スタートからここまで約8か月。今までたくさん文章を書いてきましたが、ぶっちぎりナンバーワンの難産でした。でも、ここからが本当の意味での本番。はたらくらすをはじめ、スタッフに見せて、何度も修正を重ねることになるでしょう。いろんな人に意見を聞きつつ、一歩一歩、頂上までの道のりをじっくり味わいたいと思います。

 

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《絵本のあらすじ》

夢見ヶ崎動物公園のお寺にすむノラネコのブサ。公園に遊びに来た人についてきて、園内を案内してくれます。ある日、ブサといっしょに、カイヅカイブキのトンネルをくぐると……。木々のすきまから見えるのは、はるか昔の加瀬山の風景。トンネルの中を進むにつれ、ときがさかのぼっていきます。最後は、加瀬山が海に囲まれた島だった時代。頂上の展望台につくと、見渡す限りの海がひろがっています。水平線に沈む夕日を眺めたあと、ブサが、ベンチからぴょんと飛び降りて……。振り返ると、あたりの風景は、いつもの夢見ヶ崎動物園にもどっていました。

 

☆Part①vol.1~10「絵本プロジェクト採択まで」、Part②vol.11~20「ストーリーづくり」と、思いつくまま書き綴ってきた夢見ヶ崎動物公園絵本プロジェクトの日記は、いったん終了します。続くPart③は、絵本完成までの活動の様子をご報告します。