ゆめカフェができるまで           

今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

夢見ヶ崎動物公園絵本プロジェクトvol.15       ~いきなり「ダメ出し」をくらう、の巻~

 日吉郷土史会Tさんの取材が終わり、材料がそろったところで、いよいよストーリー作りに取りかかることにしました。

 

 まずは、構成を立てるところから。資料や取材ノートを見ながら、おもしろいと思ったエピソードをひとつひとつ付箋に書き出します。それを時代ごとにグループに分け、順番に並べて、膨大な量の情報を取捨選択。整理した付箋をもとにストーリーの流れを考えて、ページごとにどんな内容を入れるか割り振ります。うん、なかなかいい感じ。この構成をKちゃんに提案してみよう。

 

 Kちゃんとの会議は、いつも保育園へお迎えに行った帰り道。その日の夕方、さっそくストーリーの大まかな流れを書いたメモを見せました。A4のコピー用紙にびっしり書き込んだメモから顔を上げたKちゃん、眉をピクリとも動かさず言いました。

「Yちゃん、確かにこの話はおもしろい、大人にとってはね。でも、子どもはおもしろいって思うかな」。良い反応が返ってくるはずと自信満々の私は一瞬たじろぎました。「オトタチバナの話は、小さな子どもはすんなり理解できないだろうし、古墳時代を詳しく掘り下げれば、他の時代もそれぞれ同じ分量の話が必要でしょう。そうすると、説明が多くてまわりくどい印象になると思うんだよね」。

 さらに、私の目を見て、静かに、でもはっきりとした口調で言いました。「私ね、子どもがページをめくるたびに、次どうなるの?次どうなるの?ってワクワクドキドキする絵本がつくりたい。お母さんに、ねえもう一回読んでって、何度もお願いするような絵本がつくりたいの」。

 Kちゃんの迫力に圧倒されつつ、真剣な気持ちがまっすぐ伝わってきました。これまで数百、数千、数えきれないほどのストーリーに触れてきた絵本マニアのKちゃんが言うことに、間違いはないはず。「よく分かった。絵本の専門家はKちゃんだから、Kちゃんの方針に合わせたい。もう一度、イチから考えるから意見を聞かせて」。

 

 それから、どのくらい話していたでしょう。歩道の脇に自転車を止めて、チビたちを遊ばせながら、ストーリー会議が続きました。とその時、鞄のポケットからプルルルと携帯電話のなる音が。やばい! はっと顔を見合わせて時計を確認すると、午後8時すぎ……。受信ボタンを押したとたん「今どこにいるの!?」と夫の声。「ごめんなさい!打ち合わせに夢中になって、今すぐ帰ります!」「無事ならいいんだよ、急いだら危ないから気をつけて帰ってきて」。40すぎて、まるで門限に遅れた女子高生のようです。

 自転車で走り去りながら、Kちゃんが何か思い出したようにくるりと振り返りました。「Yちゃんの文、すっごく期待してるから~!」

 期待してもらってうれしいような、肩にでっかい石がドンっと乗っかったような、なんだか複雑な気分。とにかく、ここまできたからには前に進むしかありません。