ゆめカフェができるまで           

今度はおぬしが夢を叶える番じゃ

【Part2】夢見ヶ崎動物公園絵本プロジェクトvol.11       ~「できることから、ひとつずつ」~

 2018年3月17日。はたらくらすのHちゃんとMちゃんが、我が家に集まりました。絵本企画一本でプロジェクトを進めることになったので、今後の方向性を決めることになったのです。 

 そもそも、フリーライターの私がNPO法人とともに活動を始めたのは、ひょんなことがきっかけでした。私が出版社を起ち上げることなど、夢にも思っていなかったころ。たまたま近所のコミュニティカフェで、ビジネス相談会があることを知り、なんとなくふらっと参加しました。2017年1月5日のことです。

 

 店の奥から現れたのは、川崎を拠点に活動する大手NPO法人の事務局長Tさん。カフェの経営をはじめ、さまざまな事業を手がけてきたコミュニティビジネスのプロです。私はそのころ、雑誌や新聞の原稿を書くことだけではなく、もっと仕事の幅を広げたいと考え、模索していました。まだ、ぼんやりとしたイメージでしたが、地元のママたちといっしょに本づくりをしたい、その本を使って、イベントやワークショップのようなものを開きたい。拠点はお寺がいいな、名前は「寺カフェ」――。  

 

 そんな内容を話し終えると、「ほお、おもしろいですね」とTさん。眼鏡の奥の目が、キラリと鋭く光りました。それから、「収益性の見通しは?」「目的は?」「このプランでスタートして、次の事業展開は?」と、矢継ぎ早に質問され、ビジネスど素人の私は、しどろもどろ。さらに、東京から川崎に引っ越してきて13年たちますが、仕事場と家の往復ばかりで、地域とのつながりがほとんどありません。そこで、「まず必要なのは、地元の人脈」と言って紹介してくれたのが、幸区自主保育グループを運営しているHちゃんでした。

 あれからわずか1年後。本当にこうして当時描いたイメージ通りの仕事をしている。たまたま偶然なのだけど、こうなることが前から決まっていたような、ご縁というものは不思議なものだと、最近つくづく感じます。

 

 話がそれましたが、元に戻って、絵本プロジェクトの作戦会議。私は、Vol.9で触れたイベント3本柱《①朗読コンサート②絵本のルートを巡る街歩きイベント③人形劇》について相談しました。HちゃんとNちゃんは、場所や準備期間など、実現可能かどうかいろいろアイデアを出してくれました。ただ予算にもマンパワーにも限りがあります。確実に実行できるものに絞って、1年目は、ツールとイベントをひとつずつ。「絵本+朗読コンサート(2019年2月)」に決まりました。

 じつは、今から2年前の2016年夏。私は仕事を詰め込んで無理を重ねた挙句、体調を崩しました。このプロジェクトの第一方針は、「けっして無理をしない」こと。スタッフは、育児まっただなかのママたちです。できることから、ひとつずつ。一歩進んだ先にきっと何かが見える。そんな確信が生まれていました。